社交ダンスのラテン種目の中に「チャチャチャ」というダンスがあります。
社交ダンスのワルツやタンゴはご存知の方も多いと思いますが、チャチャチャがのどのようなダンスか知っているという方は少ないのではないでしょうか。
「社交ダンスのチャチャチャとは何なのか?」について、チャチャチャの歴史やステップの特徴に触れながら解説していきます。
チャチャチャをかっこよく踊るコツについてもご紹介しますので、チャチャチャを練習中の方や社交ダンス初心者の方は必見です!
目次
社交ダンスのチャチャチャとは?
まずは、社交ダンスのチャチャチャとはどのようなダンスなのかについて簡単にご説明します。
社交ダンスのチャチャチャとは、キューバで誕生したダンスです。速いテンポの4拍子にのせて踊られます。
そもそも社交ダンスには、おもに10種目のダンスがあります。チャチャチャはこのうちラテン種目に分類されるダンスです。チャチャチャはスピーディーな動きが特徴で、競技会でもっとも盛り上がる種目といっても過言ではありません。
ちなみに社交ダンス全10種目は以下のとおりです。
スタンダード種目 | ラテン種目 |
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それぞれのダンスの特徴については下記の記事でご紹介していますので、ぜひ見てみてくださいね。
社交ダンスのチャチャチャの歴史
チャチャチャは、1950年代のキューバで誕生しました。キューバで踊られているダンスの一つ「マンボ」から派生して生まれたといわれています。チャチャチャの名前の由来は、マンボを踊っているときに床を鳴らす音が、キューバ語で「チャチャチャ」と聞こえることからきています。
マンボよりもゆっくりとした動きであるチャチャチャは、マンボよりも踊りやすいとして好評を得ました。そのため世界的なマンボブームが巻き起こった1950年代、キューバではマンボよりチャチャチャの人気が高まっていたという背景があります。
ちなみに、マンボは日本でも1950年代に踊られていましたが、それ以降はあまり普及しませんでした。マンボは社交ダンスにも含まれておらず、現在マンボを踊る人はかなり少ないといわれています。
社交ダンスのチャチャチャはどんなダンス?
チャチャチャはスピード感とキレのある動きが特徴のダンスです。美しく魅せるためにスピードが求められるので、やや上級者向けのダンスといわれています。また社交ダンスのラテンアメリカ種目では、5種目を通して踊りますが、多くの場合チャチャチャは1番目または2番目に踊ります。
チャチャチャの特徴
社交ダンスを見たことがある方は、カップルがフロア上をくるくる回っているという印象が強いのではないでしょうか。実は、チャチャチャは社交ダンスでは珍しく、フロア上をあまり動かずに踊るのが特徴です。
社交ダンスには、基本的にフロア上を反時計回りに回るという規則があります。このルールがあることで競技者同士がぶつからず、それぞれがベストなパフォーマンスを発揮できるという仕組みなのです。このルールをラインオブダンス(LOD)と呼び、社交ダンスをしている人にとっては基礎知識なので覚えておきましょう。
しかし、チャチャチャではラインオブダンスのルールが適用されておらず、基本的にその場で踊ります。
チャチャチャにラインオブダンスがない理由
チャチャチャにラインオブダンスがないのは、チャチャチャの動きにはそこまで激しいものがないため、ダンス中に競技者同士がぶつかることがないからです。
社交ダンスの中には体を大きく魅せることで優雅さをアピールするものがあります。例えば社交ダンスで有名なワルツなどです。ワルツのようなダンスでは体を大きく動かして踊るため、ラインオブダンスがないと競技者同士がぶつかり、ベストな演技ができなくなります。
一方、チャチャチャでは大きな動きがないので、ラインオブダンスを適用する必要がありません。その分、チャチャチャにはスピード感のあるステップが求められます。いかに素早く、優雅に踊れるかが競技会で評価を得るポイントとなります。
チャチャチャのステップの特徴
チャチャチャには「ニューヨーク」や「ショルダートゥショルダー」というステップがあります。これらのステップはキレがあるのが特徴で、擬音にすると「シュバッ」という雰囲気です。
またチャチャチャでは、ステップの踏み方で男女がお互いの駆け引きを楽しむこともできます。男性がキレのあるステップを踏むと、女性がそれに応じてステップを踏むといった感じです。そのため、チャチャチャはお互いのコミュニケーションアップにも効果的です。
ニューヨークやショルダートゥショルダーについては、チャチャチャと同じラテン種目であるルンバにも含まれています。
またチャチャチャとルンバは音楽も似ています。ただし、チャチャチャのほうがルンバよりもテンポが速く、曲の雰囲気についてはチャチャチャが陽気なイメージであるのに対して、ルンバは情熱的なイメージであるという違いもあります。
難易度に関しては、ルンバよりもチャチャチャのほうが高いといわれています。まずはルンバでステップを覚えてチャチャチャに挑戦するとなじみやすいでしょう。
ただし、ルンバもチャチャチャも社交ダンス全体の種目の中では難易度がやや高いほうなので、社交ダンス初心者の方は、ワルツやタンゴ、サンバなどから始めることをおすすめします。
社交ダンスのチャチャチャは初心者でも踊れる?
社交ダンスを始めた人の中には、YouTubeなどでチャチャチャを見て社交ダンスに憧れたという人もいるのではないでしょうか。
チャチャチャは、社交ダンス全体で考えるとやや難易度が高いダンスです。そのため、社交ダンスを始めてすぐの初心者がいきなりチャチャチャをマスターすることは難しいでしょう。
しかし、ラテン種目だけに限るとチャチャチャは初心者の方が取り組みやすいダンスといえます。それはチャチャチャに複雑なステップがあまり登場しないからです。速い音楽に合わせなければいけない点は難しいですが、慣れればチャチャチャをかっこよく踊れるようになります。
ちなみに、ラテン種目の中でもっとも初心者の方におすすめなのはルンバです。
チャチャチャを習いたい社交ダンス初心者の方は、先生に「いつかチャチャチャを踊ってみたい」ということを伝えておきましょう。社交ダンスの基礎が身についた段階でチャチャチャにチャレンジできるはずです。
また、チャチャチャを動画などで見てイメージを頭に入れておくと、練習を始める際にスムーズに踊れますよ。本記事の後半では、チャチャチャを練習する方にぜひ見てほしいおすすめの動画を紹介しています。
チャチャチャをかっこよく踊る3つのコツ
ここからは、チャチャチャをかっこよく踊るコツを3つご紹介します。
- ヒップアクションを上手く使う
- カウントを同じようにとらない
- 4の音取りを均等にしない
社交ダンスの中でも難易度が高めのチャチャチャですが、これらのコツを意識すればかっこよく踊ることができますよ。
1. ヒップアクションを上手く使う
チャチャチャでは、ヒップアクションを意識的に使う必要があります。
まずはお腹を引き上げて薄く保ち、ボディトーン(体の張りという意味)をしっかりと作ります。この状態でヒップアクションを使うと、お腹の引き上げ(上向きのエネルギー)とヒップアクション(下向きのエネルギー)で上下の抵抗が生まれ、素早いヒップの動きが可能になります。
このようにヒップアクションを意識的に上手く使うことで、キレのあるステップが踏めたり、チャチャチャらしいウォークができるようになったりします。
2. カウントを同じようにとらない
チャチャチャでは「1・2・3・4」とカウントをとっていきます。このときに、すべてのカウントを同じようにとっていては曲に間に合わなくなるため要注意です。
チャチャチャのベーシックステップにおいては、1で加速することを意識するとスムーズにステップを踏めるようになります。
踏むステップによって、どのカウントで加速するか、どのカウントで止まるかを意識的に変えるとチャチャチャが踊りやすくなるので、カウントの取り方にも意識を向けてみましょう。
3. 4の音取りを均等にしない
チャチャチャをかっこよく踊るには「1・2・3・4」のカウントのうち4をカウントどおり取らないように意識してみましょう。
特に、ロックステップやシャッセステップをする際には「1/4・3/4・1」と4カウント目を素早く取ることがポイントです。
ロックステップやシャッセステップの2歩目を早く踏むイメージで踊るとスムーズに踊りやすくなります。
社交ダンスのチャチャチャでおすすめの曲
チャチャチャの音楽は明るくてノリのよい曲が多いのが特徴です。チャチャチャにぴったりな3曲をご紹介します。
- Dynamite
- Sugar
- Bad Romance
有名で誰もが知っている曲を厳選したので、ダンサーも観客もノリノリでチャチャチャを楽しめるはずです。練習やデモなどでぜひ使ってみてくださいね。
Dynamite
こちらは、世界的に大人気の韓流アイドルBTSの『Dynamite』です。
社交ダンス界では、流行の曲を取り入れて踊られることもよくあります。流行の曲は踊っていて勢いがついて楽しいですよね。
『Dynamite』はリズムが取りやすいため踊りやすそうです。韓流好きの方にぜひ取り入れてほしい1曲です。
Sugar
こちらはマルーン5の代表曲の一つ『Sugar』のチャチャチャアレンジです。結婚式でよく使われることもあり、明るくて軽快な印象を与えられます。
こちらの曲は原曲よりもややテンポが速くなっており、より軽快さを感じられる曲に仕上がっています。
Bad Romance
こちらの曲は、レディー・ガガの『Bad Romance』のチャチャチャアレンジです。
特徴的なメロディーで観客の印象にも残りそうです。チャチャチャアレンジということで、より南米らしさを感じさせる仕上がりとなっていますね。
社交ダンスのチャチャチャでおすすめの動画
チャチャチャを練習中の方や、チャチャチャを今後踊ってみたい方にぜひ見てほしい動画を3つご紹介します。
- まずは初心者向けの動画を見てみよう
- チャチャチャのシャッセが苦手な方におすすめ
- 世界チャンピオンのチャチャチャ
まずは初心者向けの動画を見てみよう
こちらの動画は、初心者向けのチャチャチャステップを紹介しているものです。はじめはゆっくりとしたカウントのみでステップが紹介されているため、ステップをしっかりと確認したい人におすすめです。
なお、こちらの動画では以下のステップが紹介されています。
- オープンベーシックムーブメント(4&1)
- オープンヒップツイスト(234&1 234&1)
- ホッキースティック(234&1 234&1)
- ニューヨーク(234&1 234&1 234&1)
- スポットターンtoL(234&1)
教室の先生によって、多少異なるステップを組み合わせることもありますが、イメージを頭に入れておくとスムーズに練習へ入ることができますよね。
チャチャチャのシャッセが苦手な方におすすめ
こちらの動画は、チャチャチャのシャッセが苦手な方にぜひ見てほしい動画です。
チャチャチャで登場する以下の9種類のシャッセが紹介されています。
- 横へのシャッセ
- コンパクトシャッセ
- フォワードロック
- バックワードロック
- フォワード・バックワードラン
- ロンデシャッセ
- ツイストシャッセ
- スリップシャッセ
- ラナウェイシャッセ
シャッセの音の取り方についても解説されているので、基礎を見直したい方にもおすすめです。
世界チャンピオンのチャチャチャ
最後にご紹介するのは、2010年におこなわれた第31回日本インターの動画です。プロフェッショナルラテン部門で優勝したリカルド・コッキ組のチャチャチャを楽しめます。
キレのある動きで圧巻のダンスを繰り広げていますね。チャンピオンならではの余裕たっぷりの表情も魅力的です。緩急の付け方も勉強になるはずです。
まとめ
今回はラテン種目の一つチャチャチャについて解説しました。
チャチャチャは素早くキレのあるダンスです。社交ダンスの中では珍しく、ラインオブダンスが適用されておらず、フロア上を回らないという特徴があります。イメージがつきにくいという方は、今回ご紹介した動画などでチャチャチャを見てみてくださいね。
チャチャチャはスピード感を求められるので難しいですが、踊り切ったときには爽快感があります。軽快な社交ダンスを踊りたいという方は、ぜひチャチャチャに挑戦してみてください。