社交ダンスといえば「ワルツ」や「タンゴ」は誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。
社交ダンスのほかの種類に「スローフォックストロット」というダンスがあります。
「スローフォックストロットとは何か?」について、その歴史や特徴に触れながら解説していきます。
スローフォックストロットを美しく踊るコツや、スローフォックストロットとワルツの違いもご紹介しますので、社交ダンス初心者の方やスローフォックストロットを練習中の方は必見です!
目次
社交ダンスのスローフォックストロットとは?
まずは、スローフォックストロットとはどのようなダンスなのかについて、簡単にご紹介します。
スローフォックストロットとは、19世紀のアメリカで生まれた「フォックストロット」というダンスを起源として、イギリスで進化したダンスです。
4拍子の音楽にのって踊られ、1拍目と3拍目にアクセントをとるという特徴があります。
そもそも社交ダンスには、おもに10種目のダンスがあります。スローフォックストロットはこのうちスタンダード種目に分類されるダンスです。
スタンダード種目 | ラテン種目 |
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それぞれのダンスの特徴については下記の記事でご紹介していますので、ぜひ見てみてくださいね。
スローフォックストロットの歴史
スローフォックストロットの歴史を説明するには、まずスローフォックストロットの元となる「フォックストロット」の歴史から見ていく必要があります。この2つは似たような名前をしていますが、全く別物なので注意しましょう。
フォックストロットの発祥地は19世紀のアメリカと言われています。当時、ラグタイムという音楽があり、このラグタイムに合わせて踊られていたダンスの一つがフォックストロットです。
ちなみにラグタイムは発展し、現在ではジャズになりました。
19世紀のアメリカで生まれたフォックストロットは、スピード感のある動きとキレのあるダンスが特徴です。同じ頃、フォックストロットがイギリスでも認知されたのですが、イギリスではフォックストロットをスローテンポにしたため、ワルツの要素が含まれるようになりました。これが現在のスローフォックストロットです。
なお、私たち日本人が社交ダンスで踊っているのはスローフォックストロットですが、アメリカンスタイルの社交スタイルではフォックストロットを踊ります。
ちなみに、スローフォックストロットは「スローフォックス」「スロー」などと省略されることも多々あります。省略名を知っておくと社交ダンスの通に一歩近づきますよ。
スローフォックストロットの特徴
スローフォックストロットはゆったりとした遅めの曲でダンスをします。そうすることで、美しさと雄大さを表現するのです。ゆったりした曲で踊ると聞くと簡単そうに聞こえますが、実はスローフォックストロットは、社交ダンス初心者にとって最大の壁と言われています。
その理由は、ステップに特徴がなくて覚えづらいからです。さらに、ステップも一つではなく複数のステップがあるため、ステップ名がどの動きを意味しているのか覚えづらいのです。
また、一般的に人間はゆっくり動くのが難しいとされています。ゆっくり動くことで、その人の実力が如実に現れてしまうため、今までスムーズに踊れていた人でも、スローフォックストロットを始めると急に踊れなくなることもあります。
このようにスローフォックストロットはレベルが高いダンスですが、踊れるようになると社交ダンス初心者を脱却できます。
社交ダンスのレベルが上がると自分が憧れている姿に一歩近づいてモチベーションも高まるものです。少しずつでもスローフォックストロットを覚えていきましょう。
社交ダンス・スローフォックストロットの基本ステップ
スローフォックストロットでよく出てくる基本ステップをご紹介します。
- フェザーステップ カウント:SQQ
- リバースターン カウント:SQQ SQQ
- スリーステップ カウント:SQQ
- ナチュラルターン カウント:SQQ
- クローズドインピタス アンド フェザーフィニッシュ カウント:SQQ SQQ
これらのステップは、スローフォックストロットを練習する際によく出てきます。
教室の先生によっては、少し異なる組み合わせのバリエーションを作る場合もありますが、何となく動きのイメージを知っておくと、初めてステップを練習するときに役立ちますよ。
社交ダンスのスローフォックストロットを美しく踊る3つのコツ
スローフォックストロットを踊る際に意識したい3つのコツをご紹介します。
- 動きを止めない
- カウントを正確にとる
- なめらかな上下運動を意識する
この3つのコツをマスターすれば、きっと美しくスローフォックストロットを踊れるようになりますよ!
動きを止めない
スローフォックストロットでは、動きを止めないことがとても大切です。
スローフォックストロットでは足を動かし続けなければ、ワルツのように見えてしまい、スローフォックストロットではなくなります。
動きを止めないと意識することで、なめらかで美しいスローフォックストロットが踊れますよ。
カウントを正確にとる
スローフォックストロットでは、スロー(S)とクイック(Q)の感覚を正確にとることも重要です。
特に、スローフォックストロットは動き続ける必要があるため、スローカウントの意識がおざなりになってしまうことがあります。
音楽にしっかりと耳を傾けて、カウントを正確にとる意識をもちましょう。
なめらかな上下運動を意識する
スローフォックストロットを踊る際は、なめらかな上下運動を意識してみましょう。
決して上下運動をしないというわけではありませんが、上下運動が大きいと頭の位置がぴょこぴょこと変わり、美しさが半減します。
上限運動を最小限にすることを意識してみてください。
スローフォックストロットとワルツの違いは主に3つ
スローフォックストロットにはワルツの要素があるので、両者はよく混同されがちです。
特に、社交ダンス初心者の方には、スローフォックストロットとワルツの違いがわかりにくいでしょう。スローフォックストロットとワルツの違いを3つご紹介します。
- リズム
- ターンの有無
- 女性のステップ
①リズム
ワルツはリズムが3拍子ですが、スローフォックストロットのリズムは4拍子です。
社交ダンスのスタンダード種目にはクイック(Q)とスロー(S)のリズムがあります。意味は文字通りで、クイックは素早いリズム、スローは遅めのリズムです。
そしてワルツの3拍子ではクイック、スロー、スロー(QSS)ですが、スローフォックストロットはスロー、スロー、クイック、クイック(SSQQ)となります。このようにリズムを視覚的に捉えると、見分けやすいですよね。
②ターンの有無
ワルツはダンス中にターンを取り入れますが、スローフォックストロットではほとんどターンを取り入れることがありません。
ワルツの場合は体を大きく見せることで優雅に見えるので、ターンをしたり体を上下に動かしたりするのです。一方、スローフォックストロットではほとんどターンをせずに、体の上下運動を最小限にします。前進と後退で美しさを魅せるのです。
それでもワルツとスローフォックストロットの見分けがつかないという方は、どちらがより激しいダンスをしているかを見ると見分けやすくなりますよ。
③女性のステップ
スローフォックストロットは女性が後ろに下がるステップが多くあります。
一方、ワルツにも女性が後退するステップはありますが、スローフォックストロットほど多くはありません。後退する女性につられて男性が前進する光景をよく見かけるならスローフォックストロットと思ってよいでしょう。
このようにスローフォックストロットとワルツを比較してみると、意外と分かりやすい違いがありますね。
社交ダンス初心者の方にとっては一緒に見えるかもしれませんが、スローフォックストロットとワルツの見分け方を覚えておくとステップもスムーズに覚えられますよ!
スローフォックストロットにおすすめの曲5選
スローフォックストロットにぴったりの曲を5曲ご紹介します。
- 匠
- 雨に唄えば
- Killer Queen
- ピンクパンサーのテーマ
- Stand by me
どの曲も有名で耳馴染みがあるので感情移入しやすそうです。曲の雰囲気に合わせて衣装やメイクを変えるのも楽しそうですね。
匠
こちらは、日本で有名なテレビ番組『大改造!!劇的ビフォーアフター』のテーマ曲として知られる『匠』のスローフォックストロットアレンジです。
日本人なら誰もが知っている音楽であり、曲の雰囲気からもすがすがしい気持ちや晴れ晴れとした気持ちで踊れそうですね。
穏やかでスローフォックストロットにぴったりな曲に仕上がっています。
雨に唄えば
こちらは名作映画『雨に唄えば』のテーマ曲のスローフォックストロットアレンジです。
ゆったりとした曲で優雅にスローフォックストロットを踊れそうです。
Killer Queen
大人気ロックバンドQUEENの『Killer Queen』のスローフォックストロットアレンジです。
原曲はテンポが速いですが、アレンジ曲ではゆっくりとしたリズムに変わっておりスローフォックストロットのステップをしっかり踏みながら踊れそうです。
誰もが知っている音楽なので観客も楽しんで見られそうですね。
ピンクパンサーのテーマ
こちらはアニメ『ピンクパンサー』のテーマ曲です。
どことなく怪しくてミステリアスは雰囲気が漂う一曲です。忍び足をイメージしてなめらかに動けば、スローフォックストロットの雰囲気をしっかりと出せそうです。
ぜひ一度は踊ってみたい曲です。
Stand by me
こちらは、アメリカのミュージシャン、ベン・E・キングの『Stand by me』のスローフォックストロットアレンジです。
あたたかさのある曲調で優雅に踊れそうです。ボーカルにまどわされてリズムが分からなくならないよう、カウントをしっかり意識して踊りましょう。
スローフォックストロットではどんなドレスを着るの?
競技会や社交ダンス教室の発表会に出るときに必要なのがドレスです。スローフォックストロットのドレスを選ぶ際は、以下のポイントを意識してみましょう。
- 左右対称のドレスを選ぶ
- スカート丈が長めのものを選ぶ
- 装飾が施されたものを選ぶ
- シーンに合わせて色を選ぶ
左右対称のドレスを選ぶことで、身体のラインをきれいに見せられます。逆に左右非対称のドレスの場合、着方や角度によっては、身体のラインが歪んで見えたり、脚のラインが崩れることがあります。
特に初心者の方は左右対称のドレスを選びましょう。
また、スタンダード種目では通常スカート丈が長いものを選びます。スタンダード種目用のドレスもしくはスローフォックストロット用のドレスを選びましょう。
また、フリルやファー、レースなどの装飾がついているドレスはスローフォックストロットで映えます。装飾が揺れることでよりゴージャスに見せられるのです。
競技会に出る場合は、ほかの出場者よりも目立てるようにかぶらない色をチョイスすることも大切です。夏であれば赤や黒の濃い色のドレス、冬であれば青や白の薄い色のドレスがかぶりにくいです。
自分一人でドレスを決めきれない場合は、先生やパートナーに相談しましょう。あなたの体がきれいに見えて曲の雰囲気にマッチしたドレスを選んでくれるでしょう。
まとめ
スローフォックストロットは、19世紀のアメリカで生まれた「フォックストロット」が起源です。
スピーディーで激しい「フォックストロット」がイギリスに渡り、ゆっくりしたダンスへと発展したのが「スローフォックストロット」でした。
現在のスローフォックストロットを知っている方にとっては、起源がスピーディーなダンスであったことは驚きですよね。
スローフォックストロットは、一見するとワルツに似ています。
しかし、ターン・ステップ・リズムが違うのでよく見ると違いがわかるでしょう。社交ダンス初心者の方は、スローフォックストロットとワルツの違いを覚えておくと、好スタートを切れますよ!
スローフォックストロットを練習する際は今回ご紹介した曲をぜひ使ってみてくださいね。