ボールルームダンスってどういうもの?知っていそうで知らないダンスの話

近年インターネットの普及によっていろいろな情報が世に出回っています。ダンスとひとことで言っても、ブレイク、ジャズ、ヒップホップなどなど…。馴染みのあるものもあれば、聞いたこともないようなものまで多種多様です。ダンスの動きそのものを表した名前もあれば、音楽のジャンルがダンスを指すこともあります。そんなダンスの種類のひとつ、ボールルームダンスというものをご存じでしょうか?今回は大人の趣味として人気のボールルームダンスについて解説します。

ボールルームダンスとは?

ボールルーム(ball-room)は日本語にすると舞踏室という意味合いになり、ボールルームダンスは舞踏室で踊るダンス、です。
舞踏室は17世紀ごろ貴族の間でさかんに踊られていた宮廷舞踊を踊るための部屋です。
宮廷舞踊はそうした貴族の交流の場となっていました。この宮廷舞踊が時代と共に大衆にも浸透し、進化発展をとげて現在に伝わっています。これがボールルームダンスです。もっとなじみのある言葉にすると『社交ダンス』となります。

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ボールルームダンスの特徴

ボールルームダンスには他のダンスにはみられないいくつかの特徴があります。他ジャンルのダンスといったい何が違うのか、大きいものを4点解説します。

特徴1:どんな音楽でも踊ることができる

ボールルームダンスというものは、実は単体の踊りではなく音楽性によって10の種目に分けられます。我々が耳にする音楽にはさまざまなジャンルが存在します。それぞれテンポの速さや拍子が違っていますが、どのような曲であってもこの10種目のいずれかが当てはまります。このため、どんな音楽がかかっていてもボールルームダンスを踊ることができます。同じ種目でも曲調の違いによって踊りの雰囲気を変えたりすることも楽しさの一つです。

特徴2:ペアダンスである

ボールルームダンスはもともとが宮廷舞踊で貴族間の交流のためのもので、踊ることが紳士淑女のたしなみとされていました。現在踊られているボールルームダンスも10種目すべてが男女二人で踊るペアダンスです。男性はリードを、女性はフォローを担当します。ボールルームダンスの大半の振り付けはペア間の繋がりを持っています。片手をつないでいるだけのこともあれば、背中に手を回すようなしっかりとしたホールドのときもあります。この繋がりによって男性は女性に自分の動きを伝え、それに合わせて女性が踊り、それをさらに男性が受けて次の振り付けへと進んでいきます。この繰り返しによってボールルームダンスが形作られています。

特徴3:振付の順番を決めなくても踊れる

ボールルームダンスは決まった音楽にあらかじめ作成された振り付けを使わなくても踊ることができます。先程の10種目にはそれぞれに基本のステップと、いくつかのステップで作るフィガーと呼ばれるひとつの流れがあります。フィガーをいくつも組み合わせることで踊りを形作ります。
おもちゃのブロックに例えると、ひとつひとつのブロックがステップで、ブロックで作った家がフィガー、それらを組み合わせてできた街並みが一曲のボールルームダンスです。
この組み合わせはある程度のルールはありますが基本的には自由です。男性がいくつかのフィガーを組み合わせて即興で振付を作り、特徴2でも書いたように繋がりから動きを伝えます。女性はそれをフォローするように踊ります。

特徴4:社交のためのダンスである

ここまでの特徴3つを組み合わせると、ボールルームダンスのある程度のルールさえ知っていれば誰とでも、初めて出会った人とでもボールルームダンスを踊ることができます。日本でもダンスフロアーに音楽が流れていて、自由に踊ることのできるダンスパーティーがそこかしこで開かれています。

ボールルームダンスの10種目

ボールルームダンスは音楽によって10の種目に分けることができます。これらの10種目はスタンダードとラテンアメリカンという二つの部門にそれぞれ5種目ずつ分けられます。
ざっくりと言うとスタンダード部門は宮廷舞踊の要素をそのまま引き継いだようなもので、ダンスフロアをくるくると回りながら踊ります。正式には燕尾服とドレスで踊られる華やかなダンスです。基本的にずっと相手のそばにいて離れずに踊ります。対してラテンアメリカンはわりと新しいダンスで、振り付けの中で離れたり近づいたりする要素があります。
ここからはそれらの種目を少し深堀していきたいと思います。

スタンダード部門

①ワルツ

ゆったりとした3拍子の音楽に乗せて踊ります。身体を大きく振り子のように動かして踊る優雅なダンスです。曲調によって雰囲気が大きく変わるためいろいろな曲を楽しめます。愛好者も多く人気のある種目です。

②タンゴ

スタッカートの効いた4分の2拍子で踊られる種目です。タンゴの音楽のイメージ通り情熱的でキレのある動きが特徴的です。アルゼンチンタンゴとは少し踊りが違い、ボールルームダンスのそれはコンチネンタルタンゴと呼ばれます。日本人にもリズムが取りやすく、踊りやすいダンスです。

③スローフォックストロット

ゆったりとした4拍子の曲で踊られる種目です。もともとは次項のクイックステップから分かれたもので、種目の名前のように狐が走り抜けるような、景色が止まらずにずっと流れていくようなイメージの淀みのない流れが魅力的な種目です。

④クイックステップ

テンポの早い4拍子の曲で踊られます。曲調はにぎやかで明るいものが多く、見ているだけでも楽しくなるような種目です。競技会のシーンでは弾むようなステップでフロアを駆け巡るような動きもあります。

⑤ウインナワルツ

テンポの早い3拍子の曲で踊られる種目です。宮廷舞踊の雰囲気を最も色濃く残した種目といえます。ダンスフロアを真上から見下ろし、カラフルなドレスが規則正しく動いて入れ替わるような動画を見たことはありませんか?これはボールルームダンスでいうウインナワルツという種目の一部分です。一般的にワルツと言えばこちらを指します。

ラテンアメリカン部門

⑥チャチャチャ

ステップはルンバのものと似ていますが、こちらはテンポが早めで軽快な音楽に合わせて踊ります。
ビートを刻むパーカッションに合わせてチャ・チャ・チャとステップを踏むことからこの名前が付きました。

⑦サンバ

サンバと言えばブラジルや浅草のサンバカーニバルが有名ですが、ボールルームダンスにおけるサンバはペアで踊れるように洗練された作りになっています。リズムに合わせて身体を弾ませるような動きが特徴です。

⑧ルンバ

この踊りのもとはキューバの民族音楽から発生した舞踊で、アフリカから連れてこられた奴隷の間でさかんに踊られたものです。男女の愛を表現したような官能的な動きが魅力です。
このルンバと次項のチャチャチャは踊りのアクセントが小節のひとつめではなくふたつめにあります。このため少々音楽をとらえるのに慣れが必要です。

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⑨パソドブレ

スペインの闘牛をモチーフに作られたダンスです。男性は闘牛士を、女性は牛であり、ケープであり、女性でもあり、いろいろなキャラクターを踊ります。勇壮で堂々とした踊りです。

⑩ジャイブ

比較的新しい種目です。もともとはアメリカで生まれた、日本でもジルバとして知られる踊りがイギリスでジャイブとして踊られるようになりました。スイング音楽という、跳ねるような音使いの音楽に合わせて踊ります。踊りも曲に合わせて飛び跳ねるような動きが特徴的です。

ボールルームダンスのおすすめポイント

趣味として人気の高いボールルームダンスですが、どういったところが人気のポイントなのでしょうか。大きなものを3つあげてみました。

1,運動として健康に良い

ボールルームダンスは続けているだけでさまざまな健康効果を得ることができます。楽しみながら運動を続けることができるというところが大きな魅力になっています。

2,いろいろな人と交流が持てる

ボールルームダンスは性質上人との交流が持ちやすく、同好の士が作りやすいです。幅広く同じ趣味の人と交流できるのはボールルームダンスの強みといえるでしょう。また、カップル単位で始められるので夫婦で始める趣味としてもいいでしょう。

3,長く続けることができる

ボールルームダンスはさまざまな楽しみ方ができます。自分の体力やレベルに合わせて目標を設定することができるので、長期間続けることができます。

ボールルームダンスの健康効果

ボールルームダンスには人間の身体を健康的に保つさまざまな効果があります。ここではボールルームダンスをすることによって得ることのできる健康効果をご紹介します。

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効果① 有酸素運動

ボールルームダンスは激しい動きもありますが、ひとつの音楽の掛かっている間踊り続けることになります。このようにある程度の時間継続して動き続ける運動はエネルギー代謝としては有酸素運動に分類されます。有酸素運動では酸素を身体に取り入れて脂肪を燃焼することによって運動するためのエネルギーを作り出します。これによって心肺機能の向上、ダイエット効果があります。

効果② 姿勢が良くなる

ボールルームダンスの特性として、男女が一緒に踊るために地面に対して真っすぐに軸を保って動く必要があります。そのためにはインナーマッスルと呼ばれる体幹部分の筋肉に身体を上に引き上げるようにして姿勢を正した状態で踊ります。こうすることで見た目も美しく、背筋も伸びて歪みのない身体になります。

効果③ 代謝を高める

足は第二の心臓という言葉を耳にしたことはないでしょうか?人間は歩行することによって足の筋肉が収縮します。この筋肉の収縮がポンプの役割を果たし、足から心臓へ血液が循環する手助けをしています。ボールルームダンスは踊っている間はずっとステップを踏んでいるため基本的にはウォーキングのように歩行を続けている状態です。こうして脚部を使うことによって筋肉を鍛え、心臓の負担を減らし、さらに代謝の向上が見込めます。

効果④ 精神的なアンチエイジング効果

ボールルームダンスは運動としての効果も高いのですが、個人練習するだけでなくダンスパーティーのような社交の場や、発表会のような踊りを披露する場も用意されています。こうして踊りを通じて他者と交流することによって精神がポジティブになります。ボールルームダンスを続けているとダンスをしていない同世代の人よりもかなり若く見えるようになります。

効果⑤ 認知症予防に効果あり

海外では趣味と認知症の発症確率の関連性についての研究が行われています。多数の趣味の中でもボールルームダンスは特に認知症を予防する効果が高いという結果が出ています。これは音楽に合わせてステップを踏んだり他者と一緒に踊ることによって人間の感覚の五感を複合して使用することで脳を活性化させるようです。

ボールルームダンスの楽しみ方

ボールルームダンスは踊っているだけでも楽しいものですが、自身で設定した目標があればさらに楽しめるようになります。ここではボールルームダンスを続ける上で使いやすい目標をいくつかご紹介します。

1.ダンスパーティーに出席する

ボールルームダンスは慣れれば誰とでも踊ることができるようになります。公に開かれているダンスパーティーに出席して、いろいろな人と踊れるように練習を続けましょう。

2.発表会

ダンス教室主催のダンスパーティーは交流と発表会を兼ねたものであることが多いです。このような機会に観客の前で自分の踊りを披露しましょう。これは誰かと競うわけではなく自分自身の踊りの完成度が問われます。ある意味では最も大変な道でしょう。

3.競技会

ボールルームダンスにはいくつかの大きな団体があり、その団体がボールルームダンスの競技会を主催しています。競技はクラスが分かれており、A~E級といったランクがあります。下位の級で勝ち上がればクラスアップできます。勝負が好きな人は上を目指してみてはいかがでしょうか。

4.技術検定テスト

ボールルームダンスの団体の中には技術検定テストをしている団体があります。たいていの試験は種目・レベル別の区分に分かれており、自分の技術が各々のクラスの基準に達していれば合格となります。
また、さらに上位のテストとしてプロ試験も存在しています。こちらに合格するためには自分の踊りだけでなく知識を問われる筆記やステップを理解しているかの実技にもパスする必要があります。
資格の取得がお好きな方は目指してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

今回は大人の趣味として人気の高いボールルームダンスについて解説しました。健康にもよく、長く続けることができるボールルームダンスに触れてみてはいかがでしょうか。