社交ダンスと聞くと、パーティなどで男女が腕を組み、ヒラヒラと舞うドレスで優雅に踊る。そんなイメージはありませんか。社交ダンスは大きく分けると「スタンダード」と「ラテンアメリカン」があります。その中でも「スタンダード」または「ボールルーム」「モダン」と呼ばれるものが、あなたの描いている社交ダンスのイメージかもしれません。
ひとくくりに社交ダンス、スタンダードといっても種類は5種類。それぞれ特徴があります。その特徴の違いと、社交ダンスを始めるにあたっての基礎知識をわかりやすく解説していきます。
目次
社交ダンスのスタンダードは5種目
社交ダンスのスタンダード部門は、主要なものは5種目あります。その5種目とは、「ワルツ」「タンゴ」「ヴェニーズワルツ」「スローフォックストロット」「クイックステップ」です。
それぞれ動画付きで説明していきます。
スタンダードって一体なに?基本情報を解説
社交ダンスの「スタンダード」部門、こちらはその時の時代や競技団体によって呼ばれ方が変わります。スタンダード以外では「ボールルーム」「モダン」と言われることもあります。また、インターナショナルスタイル、もしくはイングリッシュスタイル(英国式)と言われているものも、すべて社交ダンスのスタンダードのことです。
スタンダードは男女が向かい合い、腕を組み踊ります。基本的に男女が離れることはありません。男性は燕尾服、女性はロングドレスで踊ります。弦楽器の曲調に身を委ねるように優雅に踊るのが、特徴です。
ではスタンダード5種類について説明していきます。
ワルツ(Waltz)
ワルツはスローワルツとも言われる、スタンダード1番人気の種目。ズンチャッチャッと3拍子の1拍目にアクセントがあります。ゆったりと時が流れる、上下に動く波のように滑らかに踊ります。ロングドレスがフワリと広がるように、クルクルと美しく回るのが特徴です。1番初めに習ったり競技ダンスの1曲目に踊ったりする花形種目。
ワルツは、13世紀ごろにオーストリアやドイツで踊られていたヴェラーというダンスが起源といわれています。一時は汚らわしいという理由で、禁止になったものの、農民の間で密かに踊り続けられました。そのダンスが品格化していき、現在のワルツとなります。
こちらがワルツの動画です。
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タンゴ(Tango)
アルゼンチンタンゴから派生した社交ダンスのタンゴ。アルゼンチンタンゴとは区別するために、コンティネンタルタンゴと呼ぶことも。スタッカートを意識した、切れ味鋭い力強いダンスです。4拍子のダンスで、1拍目と3拍目にアクセントを置きます。ネックアクションという首振りが多いのも特徴でしょう。
タンゴは19世紀半ばに、ブエノスアイレスやモンテビデオ周辺で生まれました。もともとはハバネラなど複数の音楽が混ざり合ったものです。このタンゴがヨーロッパに渡り変化したものをコンティネンタルタンゴと呼び、従来のものがアルゼンチンタンゴと呼びました。
社交ダンスでのタンゴは、踊り方が2種類。イングリッシュスタイルと呼ばれる古くから伝わるイギリススタイル。タンゴの切れ味鋭い中にも、柔らかさや優雅さが垣間見えます。これに対し、イタリアンスタイルのタンゴは、より強く鋭くとてもパワーを感じる表現をしています。
イングリッシュスタイルのタンゴです。
こちらはイタリアンスタイルのタンゴです。
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ヴェニーズワルツ(Viennese Waltz)
ヴェニーズワルツは、ウインナーワルツともいいます。先程説明したワルツよりもテンポが速くなります。宮廷舞踏から発達したダンスのため、舞踏会で可憐に舞っているように踊るのは、こちらのヴェニーズワルツの方かもしれません。ヴェニーズワルツは伝統的なダンスを継承するために、ステップは2種類くらいしかないのです。しかし最近はステップや表現を増やし、進化しつつあるヴェニーズワルツ。速いテンポで回り続けるため目が回る、かなりの上級者ダンスでしょう。
ヴェニーズワルツは19世紀の、ヨーロッパ諸国の代表が集まるウィーン会議がきっかけとされています。実はヴェニーズやウィンナーは日本語に訳すと「ウィーンの」という意味なんです。ヨハンシュトラウス1世とヨーゼフランナーが創始者となり、ヨハンシュトラウス1世の息子、ヨハンシュトラウス2世がヴェニーズワルツを完成させ「ワルツ王」との呼び名がありました。
こちらがヴェニーズワルツの動画です。
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社交ダンスのヴェニーズワルツとは|ワルツとは何が違うの?
スローフォックストロット(Slow Foxtrot)
スローフォックストロットは、流れるように滑らかに、止まる事のない移動し続けるのが特徴のダンス。4拍子の1拍目と3拍目にアクセントがあるのは、ワルツと同じですが、ワルツ程大きく上下動や回転はしません。
19世紀末にラグタイムという音楽に合わせ、フォックストロットというダンスが誕生しました。当時は現在のゆったりとしたスローフォックストロットとは逆で、スピードが速く非常に激しい踊りです。後にワルツのゆっくりな動きを取り入れ、現在のスローフォックストロットが誕生。ワルツ要素を取り入れたスローフォックストロット。初めは違いが分かりにくく、苦戦する方が多いかも。
こちらがスローフォックストロットの動画です。
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クイックステップ(Quickstep)
クイックステップは今まで紹介したスタンダード種目の、優雅な雰囲気とは打って変わって、リズミカルで楽しく陽気、思わず笑顔になってしまうダンスです。動きはとても速く、飛んだり跳ねたり軽快なステップの連続。しかし、時にゆっくり滑らかに表現することもあり、軽快な部分と滑らかな部分の感覚を掴むまでが、難しいです。4拍子の1拍目に強いアクセント、2拍目に1拍目に続くアクセントがあります。
クイックステップは、1920年代のチャールストン・ダンスという、ジャズの楽曲ブームに合わせ、スローフォックストロットのもとの形のダンス「フォックストロット」を速いリズムで演奏したのが始まりと言われています。
こちらがクイックステップの動画です。
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社交ダンスのスタンダードポジションは重要
スタンダードのポジションは、男女が離れる事はあまりありません。そのため2人の位置関係がとても大事になってくるのです。基本のポジションは大きく分けると2つ。まず初めに覚える「クローズドポジション」、そして2人とも同じ方向をみて前進できる形をとる「プロムナードポジション」。
「クローズドポジション」は2人の体を平行に保ち、男性のリードにより女性が次のポジションに移ります。この時、女性が良いポジションにいないと、男性はリードをとりにくくなってしまいます。平行四辺形をイメージしながら、男性の真正面に立つのではなく、少しずれて立つのがポイント。クローズドポジションをマスターできれば、社交ダンスを半分以上できたも同じです。それくらい基本の重要なポジションです。
「プロムナードポジション」は「PP」と呼ばれることが多いでしょう。男性の右側と女性の左ボディをとらえ、2人とも前進できる体勢です。2人の体勢が変わっても、ホールドは平行に保つ。これがなかなか難しい。この時女性は、男性の少し後ろにいることがポイントです。
では次に、良いポジションをとるためのポイント、「骨盤の向き」について説明します。
社交ダンスのスタンダードは骨盤の向きを変えない
社交ダンスはスタンダードに限らず、顔を振るネックアクションがあったり、脚を大きく動かしたりして表現することがあります。その時に大事になってくるのが、「骨盤」。体を動かすたびに、骨盤の向きが変わってしまうと、それだけ体全体のブレが生じます。脚を振る場合でも、骨盤の位置を変えない範囲で、真っ直ぐな状態をキープしつつ、最大限動かすのが大事です。
この時に、骨盤が傾くほど大きく振り上げると、パートナーとの一体感はなくなり、個々のダンスに変わってしまう。片足立ちで骨盤を動かさないように、脚をぶらぶら振ってみる。この練習を積み重ねる事が大事になってきます。
骨盤を動かさずに、体を動かす。これができるようになると、次で説明するホールドも楽に保てるようになります。
社交ダンスでキモとなるスタンダードのホールド
社交ダンスでは、キレイなホールドを保つのがとても重要です。ホールドとは男女が腕を組んで踊るスタイルの事。特にスタンダードでは、男女離れる事が少ないので、常に同じ姿勢を維持したままになります。そのため、ホールドがちゃんとできていると、踊りやすいのはもちろんのこと、見栄えも変わってくるでしょう。
ホールドは基本的に男性が作るものなので、女性はその作られた枠の中で踊るだけ。ですが、女性にも気を付けるべきポイントがあります。それは、体のどこにも力を入れないこと。適度に脱力しつつ、リードしてくれる男性に委ねるのです。頭を軽く傾けた際に、男性の横顔を常に捉えましょう。見る先まで意識するのは難しいですが、視線を広げてしまうと、それだけでブレが生じてしまいます。適度に脱力と視線の方向。これだけでも、男性の作ったホールドの中で、優雅に踊ることができるでしょう。
ここまで社交ダンス「スタンダード」基本情報をお伝えしました。では次に社交ダンスを踊る際の、必要品について説明していきます。
社交ダンスでのスタンダード用シューズ選び方
まず必要になるのは、シューズ。社交ダンスのシューズは、足にちゃんとフィットしているものでないと、踊りの質が変わってしまいます。慎重に選ばなくてはなりません。しかし、種類が豊富にあるので、なかなか選べない。そんな時スタンダードであれば、パーティなど様々なシーンで使える、パンプスタイプを選んでおくと間違いないでしょう。
普段ヒールを履きなれていない方は、ローヒールを選ぶのが良いですが、ハイヒールの方がドレス映えはするでしょう。迷う所ですが、購入時には履いて何歩か歩いてみる。多種多様なステップがあるダンスになるので、決して無理をしてはいけません。足首への負担が少ないと言われているのは、5㎝ヒールなので、こちらを目安に選ぶのも良いでしょう。
色は肌の色に近い、光沢のあるサテン生地がオススメです。肌なじみが良いとどんな衣装にも合わせやすいし、脚をキレイに見せてくれる効果あり。スタイルアップには重要な、脚長効果も期待できてしまいますよ。
社交ダンスのスタンダード練習時のスカートとは?
では次に社交ダンスを練習する時の必需品、スカートについて。スタンダードでは、クルクルと美しく回る事が多いです。練習時もよりキレイな回転を意識できるようなスカートを、着用するのがオススメ。私が着用しているのは、フレアスカートです。腰からヒップにかけフィットしており、ヒップから膝下までが風にのってフワリと開くタイプです。裾が広がるワンピースタイプでも良いでしょう。
スカートの下には、レギンスやレオタードを履いても良いですし、社交ダンス専用のインナーも販売されています。専用インナーはドレス販売店やネットでも購入可能。私は着圧インナーを履いて、スタイルアップを狙っています。
社交ダンスのスタンダード用ドレスは試着すべき
では最後に、練習を重ねていざ本番。そんな時必要になるスタンダード用ドレス。社交ダンスのドレスは、踊りやスタイルをよりよく見せるためのアイテムでもあります。せっかくの素敵なドレスなのに、体型やイメージに合っていないと不格好に。社交ダンス「スタンダード」部門のドレスは、膝下~足首までの長さで、露出は少なくなります。
初めてのドレスを選ぶ際は、体が歪んで見えないよう、左右対称のドレスを選ぶようにしましょう。そして会場で目立つカラーを選ぶと良いでしょう。ただ目立つからといって、自分に合わない色だったなんてことにならないよう、周りの意見も聴きながら色を選ぶのもよいと思います。当日踊る会場の床の色も、確認しておくと良いかもしれません。床の色と同じ系統の色では、目立たないということもあります。そして選んだドレスは、必ず試着して、縫い目のラインなどもチェックするのをお忘れなく。過去に、「装飾があるせいでウエストが太く見える」ということもありました。ドレス選びに慣れるまでは、細かな点まで確認できるよう、試着することをオススメします。
社交ダンスでスタンダードの髪型オススメ
社交ダンスの舞台に立つときに、髪型をどうしようか迷いますよね。イメージを伝えられると、美容師さんもアレンジしやすくなりますので、オススメヘアスタイルをまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
・シンプルスタイル
・アレンジスタイル
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・よりゴージャスに
https://www.instagram.com/p/B3y_bOtAdEp/?utm_source=ig_web_copy_link
「社交ダンス」スタンダードで女性のシェイプの作り方
社交ダンスでは、常にキレイな姿勢を意識します。特にスタンダードでは、男女が離れることがあまりないので、上半身が大きく動くことも少ないです。社交ダンスをしているだけで、女性は背中がシェイプされるでしょう。また、腕も常に肩と同じ高さをキープするので、二の腕シェイプも期待大。
社交ダンスをするだけで、女性のシェイプしたい気持ちを叶えられますが、もっとキレイになりたいですよね。そんなあなたの願望、女性のシェイプの作り方は、常に姿勢を正す事です。社交ダンスをしている時だけでなく、日常生活でも常に姿勢をキープするのです。その時のポイントは、鏡で姿勢をチェックすること。自分が一番キレイに見える位置を、探るためのチェックです。肩の位置をもう少し下げる、アゴをもう少し引いてみる、など常に確認する。正しい位置を意識することが、体が一番脂肪燃焼しやすいので、キレイなシェイプを叶えられます。
「では下半身はどうしたらよいの」。そんな声が聞こえてきそうですが、下半身は、社交ダンスでの多種多様なステップで、程よい筋肉が付き引き締まる。下半身も社交ダンスを続けるだけで、メリハリのあるキレイな脚に変わります。もし何かケアをプラスするのであれば、下半身シェイプは循環を作る事が鍵になります。普段からストレッチやマッサージ、足首を回すなど柔軟性を上げる事がキレイへ繋がります。
『【社交ダンス】スタイルが決まらない!下半身の悩みは循環で解決』こちらで下半身シェイプについて詳しく書いているので、ぜひご覧ください。
まとめ
社交ダンスと言えば、舞踏会で踊るダンスのイメージ。そのイメージに近いスタンダード部門について、紹介しました。社交ダンスと一口に言っても、雰囲気が違えば注意する点も違います。
今回は、今すぐあなたが社交ダンスを始められるよう、私が始めた時に抱いた疑問をお伝えしてます。女性にスポットライトがあたり続ける社交ダンスは、難しいですができるようになると、とても気持ちがよく楽しい。そして、美しく変身できる自分に、酔いしれる事もできます。ぜひチャレンジしてみて下さい。